榮太樓

5月のお話し-榮太樓總本鋪のロゴマーク-七段松の話-

榮太樓總本鋪の会社ロゴマークは、ロゴタイプの榮太樓を松の枝を象ったシンボルマークの中に組み込んだもの。これを当社では「七段松」、もしくは「七階松」と呼んでおります。
今回はこの松のマークのお話しです。

榮太樓の商標は「松」ですが、これにはどんないわれがあるのですか?

現在、使用されている商標は、七段松(山が七つある)の中に、右書で「榮太樓」と書かれているものです。
商標に松のデザインを実際に使い始めたのは、井筒屋から榮太樓に屋号を変更した時期よりはかなり遅い、明治10年以降のことと思われます。

その明治10年頃、榮太樓初代は当時本所石原町にあった逸見某(旗本と言われている)所有の別荘を購入したのですが、そのおり、邸の庭に逸見氏の祖先が三代将軍家光より拝領した松の盆栽を植え替えて育ったと言われる、枝の端から端まで横幅一一間四尺(約21m)高さ三間二尺(約6m)の、ちょうど能舞台の松羽目と同じような見事な枝振りの老松の大樹がありました。
これを見た初代は、松が常盤木として目出度い植物であることから、今まで使用していた井桁のマークからこの松の姿を彷彿させるような「七つ山の松」に改めたのです。

なお、この松の木は名木として評判でありのちに東京市に請われて当時の日比谷公園に移植が図られましたが、当時の運搬器具や道路幅では不可能なままのちの関東大震災で焼失してしまったのです。
松の樹齢からすれば、今でも立派に葉を繁らせているだろう、と思うと残念な気がします。