
今回はこの映画「和菓子」をご紹介いたします。

榮太樓が企画した映画「和菓子」はどんなものなのですか?

この映画は企画を榮太樓總本鋪、製作を桜映画社が担当し1965(昭和40)年7月に完成、東宝株式会社より配給されました。
芸術祭参加作品優秀映画鑑賞会の推薦であり、文部省選定のほか国内外で9つの賞を受賞しています。
放送尺は26分、榮太樓の店頭や工場内の製造風景、職人の美しい手業のほか和菓子の歴史的生い立ちなどが記録に収められています。
映画を創り出す企画背景を榮太樓物語より引用します。
和菓子についての文献は、所々に散在しているが、まとまったものとしてみられるものは数少ない。
そこでカラー映画という新しくて最も理解されやすい手段を用いて、秘められた和菓子の伝統を美しく、楽しく探りつつ、それを記録にとどめると同時に、将来への志向を求めたい。
そんな気持ちが、この映画を創り出す動機となった。
日本の食文化を題材とした作品はいくつもありますが、和菓子だけに絞った作品は数少ないと言います。
同年、数々の賞を受賞することで多くの評論家の方々からも称賛の声がありました。
その中から一部紹介します。(「映画 和菓子」評 評論家 岡田譲)
「日本の菓子には味だけでなく美しく見せることに実に神経が行き届き、細かい工夫が凝らされている。
デザインには四季折々の情感が盛られて、季節の香りを楽しませてくれる。
それはただ菓子そのものの形や色だけではない。味わう側では視覚を満足させるように作り上げ、それを楽しく味わうことに気を使う国は世界のどこにも無いのではあるまいか。
この映画ではそういった和菓子の美しさと、その美しさを出す磨き上げられた手業を見事に描き出している」
製作から60年の時を経て、「和菓子の伝統を記録したこの作品を現代に甦らせたい」という強い想いを再認識させられました。